気まぐれろまん

6日め
柴田錬三郎+横尾忠則の「絵草紙 うろつき夜太」。
1973年から1974年にかけて『週刊プレイボーイ』に連載された時代小説ですが、破天荒な話の内容、豪華な挿絵や実験的なデザイン構成で大人気になりました。
当時、柴田錬三郎が横尾忠則と同じホテルに1年間缶詰になったというのは有名。
作家と挿絵画家の丁々発止、「当時だからこそ出来た冒険・実験的な表現」と、横尾忠則さんも言っています。

江戸時代の自由人、イケメンで剣豪の夜太が様々な事に巻き込まれたり自ら飛び込んでいったりの活躍にワクワクし、眠狂四郎や木枯らし紋次郎も出て来るので、もう、たいへん。
連載の途中でいき詰まった柴田錬三郎先生の弁明の回があったり、活劇の描写で見開き2ページ「・・・」だったり、先生と夜太との会話で展開されるところもあります。
最後に夜太がフランス革命にまで参加しちゃうところでは、新聞記事のレイアウトになっていたり。
横尾画伯とシバレンが組んずほぐれつで作り上げた絵草紙、とにかく、めっちゃおもしろいです。

私は連載終了後の1975年に、265×185mmというデカいサイズのハードカバーで書籍化された初版を買ったのですが、2013年に国書刊行会から復刻版が出ていたことを知りました。
データの存在しないこの本の復刻についての詳細が書かれた記事も、おもしろいです。
ご興味のある方は、こちらへ。
https://www.toppan.co.jp/biz/gainfo/pr/23_ezousi/p1.html

7日め
最終日は「映画の荒野を走れ──プロデューサー始末半世紀」
先ごろ亡くなられた伊地智啓プロデューサーのインタビューで綴られる、日本映画史とも言える本です。
私の映育である日活映画の助監督時代から始まり、裕次郎の時代からニューアクション、ロマンポルノ、キティ・フィルム時代、相米慎二監督を見出し、アルゴ・プロジェクトの頃、ケイファクトリーと、木村建哉さんの編者後記によると、同じ編者である上野昂志さんが3年かけてインタビューしたものがメインだそうです。
伊地智さんの話術の巧みさ、インタビュアーの高い見識と引き出し方のうまさで、ひとつひとつのエピソードは躍動感にあふれています。

残念ながら私は伊地智プロデューサーにお会いしたことないのですが、お人柄をご存じの方にとっては文字で書かれた言葉がご本人の声を伴ってよみがえるのではないか…と想像したりしています。
本を整理して以来、新しいものは電子で購入しているので、この本は久々に手にした紙版。

私の好きな映画たちの裏にはこんなことがあったのか、とワクワクしながら読み進み、裏話を聞くとまた本編が見たくなるのは事の道理。
いま、このブックカバーチャレンジリレーと映画リレーのバトンを両手に持って走ってきたので、もう一度読みたい本、見たい映画がもりもりになってきました。
これからも続く自粛の日々で、全て読了＆看破できるのか…。
お楽しみはこれから。

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。